木村先生と和也君
しばらく,沈黙が流れる。
ご両親も和也君も驚いて何も言えないようだ。
「木村先生,顔をあげてください」
お父様が声をかけてくださった。
「和也が彼女を連れてくると聞いていて,木村先生だったので確かに驚きましたが,きちんとしたお付き合いをしてくださるというのならば,私達もむやみに反対するつもりはありません。反対したところで,和也も諦めるつもりはないんだろう?」
「木村先生が付き合ってくれると言っているのに,両親が反対したから別れるということは俺の中ではないです。」
雰囲気にのまれたのか,和也君も敬語になっている。
お母様も何か言いたそうだったが,それより先にお父様が続けて口を開いた。
「とは言うものの,相手が同年代やせめて大学生のお嬢様ならともかく,大人の先生ということには私達としても少し動揺しており,手放しで二人の交際を賛成することは今はできません。少し家族で話をする期間をいただけませんでしょうか。」
今すぐ彼女として認めることはできない,大人として当然の判断だと思った。
さすが警察官,堂々としたものだ。
高校生の子を持つ親としては私達の年の差は大きすぎる。
常識を逸脱している。
認めてもらえないことは覚悟はしていたが,やはり心が痛くて少し泣きそうになった。
しかし,チャンスがないわけではない。
これからお話をしてくれるということなので,家族会議で良い結論が出ることに期待するしかない。
「分かりました。私がお父様の立場でも,すぐに交際は認めることはできないと思います。どうか,ご家族で話し合いをお願いします。」
私は深々とお辞儀をして,立ち上がる。
「では,私はこれで失礼いたします」
これ以上,彼女でもない人間がご家庭にいるのは迷惑だ。
「え,もう帰るんすか!?」
和也君が驚いた声をあげる。
「うん,交際を認めていただいていないうちは私がここにいては迷惑だからね」
「そんなことないっすよ。彼女じゃなくて友達でも家に来ますもん」
和也くんが少し焦ったような口調で言う。
しかし,和也君は良くてもご両親はどうなんだろう。困るのではないだろうか。
ご両親の顔色を伺おうと,二人の方を見る。
と,お母様が口を開いた。
「木村先生,そんなに慌てて帰っていただかなくても大丈夫ですよ。せっかく来ていただいたのですし。そうだ,和也高校の勉強でもみてもらったら?」
良かった。お母様も大反対といわけではなさそうだ。
ただ,歓迎されているのは,彼女ではなく先生という立ち位置のようだが。
「先生,こっちです!部屋,あまりキレイじゃないですけど」
和也君は意気揚々と部屋に案内してくれる。
きっと私達が立ち去った後,まずはお父様とお母様の話し合いが行われるのだろう。
ご両親も和也君も驚いて何も言えないようだ。
「木村先生,顔をあげてください」
お父様が声をかけてくださった。
「和也が彼女を連れてくると聞いていて,木村先生だったので確かに驚きましたが,きちんとしたお付き合いをしてくださるというのならば,私達もむやみに反対するつもりはありません。反対したところで,和也も諦めるつもりはないんだろう?」
「木村先生が付き合ってくれると言っているのに,両親が反対したから別れるということは俺の中ではないです。」
雰囲気にのまれたのか,和也君も敬語になっている。
お母様も何か言いたそうだったが,それより先にお父様が続けて口を開いた。
「とは言うものの,相手が同年代やせめて大学生のお嬢様ならともかく,大人の先生ということには私達としても少し動揺しており,手放しで二人の交際を賛成することは今はできません。少し家族で話をする期間をいただけませんでしょうか。」
今すぐ彼女として認めることはできない,大人として当然の判断だと思った。
さすが警察官,堂々としたものだ。
高校生の子を持つ親としては私達の年の差は大きすぎる。
常識を逸脱している。
認めてもらえないことは覚悟はしていたが,やはり心が痛くて少し泣きそうになった。
しかし,チャンスがないわけではない。
これからお話をしてくれるということなので,家族会議で良い結論が出ることに期待するしかない。
「分かりました。私がお父様の立場でも,すぐに交際は認めることはできないと思います。どうか,ご家族で話し合いをお願いします。」
私は深々とお辞儀をして,立ち上がる。
「では,私はこれで失礼いたします」
これ以上,彼女でもない人間がご家庭にいるのは迷惑だ。
「え,もう帰るんすか!?」
和也君が驚いた声をあげる。
「うん,交際を認めていただいていないうちは私がここにいては迷惑だからね」
「そんなことないっすよ。彼女じゃなくて友達でも家に来ますもん」
和也くんが少し焦ったような口調で言う。
しかし,和也君は良くてもご両親はどうなんだろう。困るのではないだろうか。
ご両親の顔色を伺おうと,二人の方を見る。
と,お母様が口を開いた。
「木村先生,そんなに慌てて帰っていただかなくても大丈夫ですよ。せっかく来ていただいたのですし。そうだ,和也高校の勉強でもみてもらったら?」
良かった。お母様も大反対といわけではなさそうだ。
ただ,歓迎されているのは,彼女ではなく先生という立ち位置のようだが。
「先生,こっちです!部屋,あまりキレイじゃないですけど」
和也君は意気揚々と部屋に案内してくれる。
きっと私達が立ち去った後,まずはお父様とお母様の話し合いが行われるのだろう。