木村先生と和也君
「え!そうなの?」

確かにお父様は私から見ても素敵に見えるくらい若々しい。

「ちなみにお父さん,おいくつ?」

「確か,38かな」

若っ!私と和也君の年の差が15歳,私とお父様の年の差が・・・計算したくない。

私と変わらないじゃん!!

「じゃあ,お母さんは・・・」

「46ですね」

そう言われて二人を思い返してみれば,お母様の方が年上に見える。

でも,とてもきれいなお母様で実際の年齢よりは若くみえる。

「だから父さんは俺の気持ちがわかるはずだし,母さんも年上の女性だからって否定的になることはないと思います」

うーん,だけど私達の方が年齢差が大きいからなぁ,どうだろう。

それにしても,和也君の年上女性好きは,遺伝か・・・



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そんな話をしながら向かい合って数学の宿題をしていると,階段を登ってくる音がした。

続いてドアをノックする音がして,和也君がドアを開けるとお母様が立っていた。

「先生,ありがとうございます。これ良かったら召し上がってください」

お盆に乗せたジュースとクッキーが出てきた。

うん,やっぱりきれいな人だ。46歳には見えないな。

「すみません,ありがとうございます」

「和也,真面目に頑張るのよ。」

「うん,分かってる」

和也君はお盆を受け取って,早く出ていってほしそうにしている。

それにしても,完全に家庭教師の扱いだ。

その方が私としてもやりやすいからいいんだけど。

「先生,どうぞ」

「ありがとう」

お母様が部屋から出ていくと,和也君がお盆を私の前に置いてくた。

そしてそのまま私に覆いかぶさる。

「え?」

一瞬頭が真っ白になる。

これは,どういうこと??

「か,和也君,宿題は?」

「俺ははじめから宿題する気なんてあんまりないです」

「いや,でも,お母さんは宿題するように言ってたし,お母さん来たらどうするの!」

「階段の音でわかりますし,今来たばかりだからしばらく来ないと思いますよ」
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