無駄な紅葉は散り濡れる.
「身分なんて簡単に
 変わってしまうわ。
 誰かが嘘の言葉を言えば 
 信じてしまう人ばかりの
 世なのだから。

 それを知らずに
 生きる人間ほど
 馬鹿なものはいないと
 思うの。

 そんなので
 今上帝になるつもりなら
 やめた方がいいわ」


東宮の俺に向かって
言う言葉じゃない。

普通なら
従者を叱り
俺に謝る。

そんな人間ばかりだった。

「人のせいにする人など、
 国を治められませんわ」

そう言って消えた
白拍子を憎む気になれなかった.


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