全ての記憶を《写真》に込めて
「晴くん、ありがとう」
わざわざ玄関まで送ってくれた。
また玄関先に荷物があったら絶対寝られないだろうし、という理由で。
「じゃあ、ちゃんと寝なよぉ」
「うん」
「オレも帰るから何かあったら連絡してよね」
「分かった」
バイバイ、と手を振ると去り際に手を振ってくれた。
そして、カメラを構える。
晴くんは後ろ姿だから気づかないはず。
綺麗な夕焼けを背景に。
晴くんを中心に。
シャッターを切る。
いつの間にか店で感じたモヤモヤと痛みは消えていて。
「何だったんだろう………」
結局何もわからなかった。