全ての記憶を《写真》に込めて



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やってしまったと思った。
あの時、こいつを下にして、免疫もないだろうに。
怯えた目で。

「…っごめん」

初めて心から謝ったかもしれない。

それなのに、まだオレを元気づけようとしてくれるこいつは優しすぎると思う。

元マネからの脅迫に似た要求。
常に見張ってるらしい。

だけど、こいつと全然関係の無い話をしているとすごく気が楽になる。


「あ、晴くん…っ!」
カメラを取り出して急いで駆け寄ってくるそいつ。
コレ見て、と差し出され、カメラを渡される。いつも持ち歩いているカメラを。

「これ…、え、何がしたいの?」
「写真みて元気出して!楽しい思い出が沢山あるんだよ」
いつか言ってた気がする。
写真で思い出を残していきたいと。

そして、カメラを眺める。
いくつもの写真が残されていて。

すると、ある写真で手が止まった。

「ククッ……、こ、これ………っ、」

懐かしい、ってほど前じゃないど。

「なんの写真?え、そんな笑える写真あった?」
「いや、別にぃ」
そして、そのまま返す。
「オレも写真撮ってみようかなぁ、面白そうだしさ」
「ほんとっ!?一緒に撮ろ!」
目を光らせてオレを見るこいつは、元モデルのオレから見てもそこらの女子より可愛いと思う。
「まだやるとは決まってないけどぉ」

なんか、笑えてくる。
普通に会話しているだけなのに、ね。





んん、と伸びをする。
そしてゆっくり目を閉じる。
まぶたに浮かんだのは、さっき見た、オレが前に撮ったあいつの写真。
まだまだ下手だけど、残しておいてくれて、少しだけ嬉しかったかもねぇ。




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