全ての記憶を《写真》に込めて
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こいつがうだうだしているうちに時間だけが過ぎていく。
このままだと本気で明日起きれないんだけどぉ。
俺が呼んで帰れくなったってのにさ、別に気にする必要ないと思うんだけど……。
「〜〜っ!分かった!寝ればいいんでしょ!」
「晴くん、どうしたの?」
「はい、寝る!」
電気を消し、シングルベッドの奥にそいつを移動させ、背を向け手前に横になる。
そして、顔が見えないようにそいつの顔にタオルを被せてやる。
「は、晴くん!見えないよ!」
「いいからさっさと寝る!俺が起きれなくなるんだからねぇ!」
こいつが寝たら俺が床に移動したらいい。
そう、だからさっさと寝てくれたら一番いいんだけど……。
「は、晴くん……、真っ暗だと、寝れない…」
「はぁっ!?あんたお子様なの!?」
「だからタオル、どけてもいい?」
「はぁ……、もう勝手にすればぁ」
すると、タオルが動くのが感じられる。
早く寝てほしいんだけど……。
「晴くん、床に行っちゃダメだからね、風邪ひいちゃうからね」
そう言って、体を起こしたのか頭をゆっくり撫でている。
「ふぁあ………、眠、い……」
そして、ポスン、と布団に倒れ込むような音。
すると、規則正しい寝息が聞こえた。
「よし……、床にい、」
_______________グッ。
後ろを掴まれてる。
見なくてもわかる。
掴まれてるよ、完璧に。
「ちょっとぉ、寝てるのぉ」
小声で問いかけてみるけど、やはり聞こえるのは規則正しい寝息のみ。
「嘘でしょ…」
俺の床で寝る作戦はどうなるの。
少し抵抗してみようとするけど、抵抗すればするほど……。
「…んぅ……………、」
「……っ!」
ちょっと、俺でも思春期だし。
そんな声出さないでよねぇ…………。
「離してよねぇ…」
どこにも届かない独り言を呟く。
何分経ったか分からない。
もう諦めかけた時。
一瞬力が緩んだ気がした。
その瞬間、体を起こす。
「はぁ、やっと寝れ…、る………」
うしろを振り返れば、ベッド付近にある窓から差し込む月光に照らされるそいつ。
「………何、泣いてんの」
涙を浮かべ、寝ていた。
悪夢でも見ているのだろうか。
見ていると、ほっとけない。
「…ぁあっ、もう仕方ないなぁ」
そう言って、もう一度横になる。
なぜこんな行動しているのだろう。
自分でもわからない。
タオルから出ている手に触れる。
「冷たい…」
こんなに冷やしちゃダメでしょ、女の子なんだから。と思いながら俺が使うはずだったタオルを俺が被り、あまりを被せてやる。
向かい合った状態だけど、まぁ、仕方ないだろう。
………何が仕方ないのかよくわからないけど。
そして、俺も瞼を落とした。