全ての記憶を《写真》に込めて
「ご、ごめんね、晴くん…」
そして、思いっきって体を起こす。
すると案外簡単に起き上がることが出来た。

「晴くん、起きて」

奥側にいるから晴くんを跨がないといけない。
だけど、寝かせてもらっていた身、そんなことできるわけが無い。

「晴くん、遅刻するよ、起きて、おーい」

晴くんっていつもどうやって起きているんだろう…。
まぁ、昨日私のせいで寝るのが遅くなったし。
眠いよね………。
でも、遅刻する訳にはいかない。

「申し訳ないけど…………」

シングルベッドだかやそう幅もないはず。
床まで飛べるかどうかが問題だけど。

「よし、飛ぼう」

そして、晴くんを起こす前に一枚だけ、一枚だけ写真を撮らせてもらおう。

そして、ベッドの上に立つ。

だけど……、思ったより遠かった。
絶対届かない。
晴くんを踏んじゃいそう。

そう思うと、晴くんを踏めないから諦めるしかない。



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