全ての記憶を《写真》に込めて
そう、時間がなかったのだ。
服だって、制服だけ昨日の夜のうちに洗濯させてもらってカーディガンが乾かなかったから晴くんのものを借りている。
髪はいつもしっかりといてくるか、茉莉ちゃんが結んでくれたように結ってくる。
だけど、今日は髪をとく時間が無かったからちょっとしか櫛を使ってとけてないのだ。

「彩月!おは…よ………え、どしたの?」
「晴!今日遅かったな!…て、えぇえ!」

茉莉ちゃんと、翔くんがやってきた。
「は、晴、まさか……っ、おま、え!」
「意味わかんないんだけどぉ、日本語喋ってよねぇ」
「…彩月、あの、それ、和久井くんの?」
「一応…、借りた」

茉莉ちゃんが指したのはカーディガン。
今回はサイズを考慮して小さめのものを借りたのだけど、まだ違和感があったかな。

「和久井くん!彩月の純潔返してぇええ!」
「晴!ずりぃぞ!お前、彩月ちゃんと!」

「変な誤解しないでよねぇ!ただ普通に貸しただけだからさ!」
「そ、そうだよ!」

変な誤解を生んでしまったかもしれない。
そして事情を詳しく話すことになった。
「まず、俺が呼び止めちゃって帰れなくなったでしょ だから、泊めてあげただけ もちろん違う部屋だから、ねぇ?」
「う、うん」
バレたら困るため、ここは晴くんに合わせよう。

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