全ての記憶を《写真》に込めて
「本当に相手はふざけた趣味してるよねぇ」
晴くんはそう呟きながらそっぽを向いてくれた。
実は、ダンボールに入ってた写真の中に部屋での着替えの写真などもあるからだ。
そして、私は写真をすべて裏向きにしてダンボール箱に詰める。
「お兄ちゃんに言った方が良いかな…」
「言った方がいいでしょ、そりゃあ」
「でも、お兄ちゃんがお母さん達に言ったら、迷惑かけちゃうし…」
やっぱり、お父さんとお母さんは仕事に専念してもらいたい。
迷惑かける訳にはいかない。
お兄ちゃんもそうだ。
せっかく教育実習生として学校に来ているのにこれ以上忙しくさせる訳にはいかない。
「よし!晴くん、私お兄ちゃんが居ないあいだに近所の交番に相談しに行ってみる!」
「……一人で行かせるわけないでしょ」
昨日約束したんだし、と面倒くさそうに溜息をつきながらも何だかんだ付いてきてくれるらしい。
「ありがとう、晴くん」
改めて、はっきりと伝える。
「…別に、あんたに何かあったら色んなやつが困るからねぇ」
と、わざとらしくため息をつく。
だけどその表情は嬉しそうだ。
きっと、恥ずかしいのかもしれない。