全ての記憶を《写真》に込めて
そして迎えた文化祭当日。

何とか衣装の準備も間に合った。
コンテストは午後からで、午前はカフェ。

「ま、茉莉ちゃん!恥ずかしいよ…」

メイド服は初めてで、すごく恥ずかしい。

「彩月は可愛いんだから自信もって!ほら!和久井くんから何かないの?」

家庭科室に向かおうとしていた晴くんを茉莉ちゃんが呼び止める。

「はぁ?俺から?」
「可愛いとか似合ってるって言ってあげなよ〜」
和久井くんに言われたら自信もてそうだし、と笑う茉莉ちゃん。

「意味わかんないんだけどぉ… ……まぁ、似合ってなくはないんじゃない」

そっぽを向いて言ってくれる。
え、言ってくれた?

「へ、」

呆気にとられる。
晴くんから言われると、なんか嬉しいなぁ。

「和久井くんってホント素直じゃないね〜」

お腹を抱えて笑う茉莉ちゃん。

そんな中晴くんは急いで家庭科室へ向かった。

「どう?和久井くんに言われたから自信持てたんじゃない?」

「うん!晴くんはセンスいいから、言われると嬉しい」

嬉しいけど、前よりももっと恥ずかしかった。
顔が熱い。


「?彩月、顔赤いよ?」
「えっと、何でもないよ!」




晴くんの写真撮っておけばよかった。




燕尾服の晴くんがとても素敵だったとは、言えない。

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