全ての記憶を《写真》に込めて
はじめまして、こんにちは
「あの、誰ですか…?」
そういった時、病室の空気が重くなった気がした。
「彩月、やっぱり…」
女性が悲しそうに俯く。
そんな女性を男性が抱きしめる。
そのあいだの子供だろうか。
同い年くらいの男の子が近づいてくる。
「はじめまして、こんにちは」
「こんにちは」
優しそうな笑みを浮かべて。
「俺は和久井 晴」
「晴、くん…?」
「そうだよ」
誰だろう。
私が知ってるかな。
大事な人だったら申し訳ないな。
「貴方との関係ってなんですか?」
「俺と、彩月の?」
まるで愛おしいものでも見つめるかのように。
壊れ物を扱うように私の頬に触れ。
「彩月と俺は付き合ってるんだ」