全ての記憶を《写真》に込めて
「はぁ、いきなり来られても彩月がびっくりするでしょ」
「だ、大丈夫、です…」
「そう?まぁ、彩月がいいならいいけどさぁ」
説明をしてもらって、私たち4人の関係がわかった。
みんな大事な人で、みんな忘れちゃいけない人だったんだ。
家族も両親しかいなかったけど、お兄ちゃんもいるらしい。
「彩月!実はこれ持ってきたの!」
約束だったんだよね、彩月との、と大きな本を取り出した。
私との約束………?
「これって……」
開くと多くの写真。
「アルバム?」
「そう!彩月の趣味が写真を撮ることだったからね」
「俺は盗撮されてたけどねぇ」
「えっ、盗撮」
なんてことしてたんだろう。
盗撮って犯罪じゃ…。
「でも、俺は嬉しかったよ」
そう言って微笑まれる。
昔の私は、晴くんの優しさに惹かれたんだろうか。
「晴ってこんなに優しかったっけ?俺こんなに優しくされない」
「うるさい翔」
「ほらな!……彩月ちゃん、慰めて」
「彩月に手出さないでよねぇ」
「ごめんなさい」
見ているだけで微笑ましい。
私はこんな輪の中にいてもいいのかな。
みんなが知っているのは私なんだけど、私じゃない。
「彩月、一緒に見よ〜」
「はい!」
早く、私をこの輪に戻してあげなくちゃ。
そう思ってアルバムに目を通した。