全ての記憶を《写真》に込めて
「おはよう…」
ふぁあ、と、あくびしながら朝早い来客だ。
「は、晴くん…、おはようございます」
こんな時間にどうしたんだろう。
「えっと、忘れ物、ですか?」
「別に何も無いけどぉ」
「えっ、じゃあ」
なんで、と聞く前に晴くんが答えてしまった。
「なぁに、彼女が見たくてきたらダメなのぉ?」
挑発的な目で見られる。
「えっ、あっ、いや!大丈夫です!」
すごく恥ずかしい。
恋していたのは私だけど私じゃない。
なのに、すごく意識してしまう。
きっと、アルバムにとっていた二人がすごく楽しそうだったから。
「ほら、あんたももうすぐ退院でしよ」
「あっ、学校、ありますよね…?」
「何寝ぼけてんの、あるに決まってんじゃん」
「晴くんは、ここによってて大丈夫、なんですか?」
朝早くから来てもらったけど、やはり学生だ。
学校はある。
「大丈夫、いつも彩月と行くのが日課だったからねぇ」
「ふ、二人で、ですか?」
「もちろん」
すぐ下を向いてしまった。
やっぱり恥ずかしい。
じゃあね、と扉の方で声が聞こえた。
待って、声掛けなくちゃ。
「あ、あの!」
「ん?」
「あの、晴くんと私のこととか、晴くんのことと…えっと、学校とか色々なこと教えてください!」
勇気を出して言えたと思う。
ちゃんと思い出さくちゃ。
元の自分に戻ったらきっとみんな喜ぶだろうし。
「いくらでも教えてあげるよ」
「あ、ありがとうございます!」
もしダメって言われたらショックだったと思う。
だけど、いいと言われて嬉しい。
夕方が、楽しみだなぁ。