全ての記憶を《写真》に込めて
「彩月!!遅くなってごめん!!大丈夫、頭痛いか?歩けるか?覚えてるか?」
「!!」
お母さんが連れてきた男の人に思いっきり抱きしめられる。
「こら、嘉月 彩月が困るでしょ」
「あ、ごめん」
「えっと…」
「俺は嘉月、彩月のお兄ちゃんだぞ〜!」
この人がお母さんと、お父さんが言っていたお兄ちゃん。
「はじめまして…?」
合ってるのかな。
「あぁ、はじめまして!」
それからたくさん話して知ったこと。
お兄ちゃんは心配性なこと。
私のために国内各地だけじゃなく世界各国にも旅をしていたこと。
「ごめんな、病院が見つからなくて…」
「いえ、ありがとうございます」
それだけ、必死になってくれてんだ。
感謝しするしかない。
「でも、知り合いの医者が色々考えてみるってさ」
だから安心しろ、と思いっきり頭を撫でられる。
「じゃ、俺またすぐ行かなきゃ」
「気をつけてください」
「行ってきます」
返さなくちゃ。
ちゃんと……っ。
「…っ行ってらっしゃい!」
「っ!…おう!」
お兄ちゃんと入れ替わるかのように晴くんと茉莉ちゃん、翔くんが入ってきた。