全ての記憶を《写真》に込めて
そして、専門の先生が診断に来る日になった。
この検診が終われば茉莉ちゃん達とのピアノコンサートが待っている。
楽しみでワクワクしていた。
そして、この検診で問題がなければ退院もできる。
「では、ゆっくり歩いてみてください」
ゆっくりと、足を動かす。
ベッドの上での生活だったから訛っているかもしれない。
だけど、ゆっくりだけど歩くことが出来た。
「足には異常はありませんね」
良かったです、と安堵の声を漏らした先生。
「何も問題がないので明後日には退院できますよ」
「ほ、本当ですか!?」
「彩月!やったわね!明後日から一緒に暮らせるわ〜」
紘ちゃんにも知らせなくちゃ、と電話をしに廊下に出てしまったお母さん。
それと入れ替わるかのように小学生くらいの女の子と二人の男女が部屋に入ってきた。
「あれ?まだ人いる?普がいないって言ったのに」
「なっ、玖音が人いないって言ったじゃないの!」
「お兄ちゃん嘘ついたらダメだよ」
「え、えっと……」
「あ、ごめんなさい まだお話中でしたよね 私たち出ますね ほら、玖音出るよ 莉音ちゃんも」
「大丈夫です!もう終わったので…」
失礼しました、と急いで部屋を出る。
「あら、彩月 どうしたの?」
「う、ううん!何でもない!」
「そう?紘ちゃん彩月が帰ってくるの楽しみすぎて思いっきりカップ割ったみたいだからちょっと家に戻るわね」
「分かった、部屋にいるね」
「すぐ戻るから」
そして、部屋についた。
「あと2時間…」
ワクワクが止まらない。
ソワソワしちゃう。
早く行きたいなぁ。