全ての記憶を《写真》に込めて
好きです、を伝えたい
学校が始まって一週間がたった。
もう十二月の後半で終業式も近づいている。
クラスにも馴染めたし、すぐ受け入れてくれた。
記憶のあった頃の名残があるのだろうか、風景や人物など写真を撮るのは得意だったから、クラスにも貢献できた。
でも……、
「彩月、帰れる?」
「はい!」
私が晴くんのことを好きなのかはわからない。
「ご両親には連絡してるでしょ?」
「お父さんが見に来るみたいです」
「過保護だねぇ」
今日から晴くんのモデルの仕事を見に行くことにした。
私が頼んだんだから、ちゃんと見届けなくちゃ。
「あっ、彩月ちゃん!凛桜くん!こっち!」
「あっ、真依さん」
建物の前で手を振ってくれている真依さん。
「晴くん、大丈夫ですか?」
詳しいことは真依さんや、翔くんから聞いたから。
「俺を誰だと思ってんのぉ」
「はいはい、千紘くんも待ってるから行こう」
「あんたの彼氏、嫉妬深いもんねぇ」
「それは凛桜くんもだからね」
「彩月は俺のだから」
そんなことを会話されるとすごく恥ずかしい。
最近時々思う。
こんなに晴くんに思ってもらえるなんて、昔の私は羨ましいなって。