全ての記憶を《写真》に込めて
「じゃあ、まずはこっち向いてー」
晴くんは本当にかっこいい。
改めてそう思った。
私も一緒にカメラを構える。
かっこいい晴くんをカメラに収めなくちゃ。
「凛桜くんが復帰してくれて嬉しいよ」
「いえいえ、あの頃はご迷惑おかけしました」
「あの頃はごめんね、気づかなくて」
「高林さんのせいではないので」
カメラマンである高林さんも嬉しそうだ。
それだけ晴くんは人気だったのだろう。
「そういえば、凛桜くん楽しそうだね」
「前から楽しかったですけど」
「んー、なんて言うか前よりも笑顔が柔らかいっていうか」
そうかな?
前はよく知らないけど、写真に写ってる晴くんの笑った顔は柔らかかった。
「彩月ちゃんが来てからそうなんだよ」
「そうなんですか?」
真依さんが隣に来てくれる。
ひとりじゃ心細かったものだ。
「晴くんは、とてもかっこいいんですね」
「昔はそうでもなかったんだよ、何も感じないような顔で普通に立ってただけだけど、今は楽しそうだもんね」
「真依さんはモデル辞めたんですか?」
「ううん、たまに活動するくらいかなぁ」
千紘くんに控えるよう言われたし、と微笑をたたえる真依さん。
「失礼しまーす」
男の人が入ってきた。