全ての記憶を《写真》に込めて
立ち位置とかは高林さんが決めてくれた。
初めてで緊張したけど、晴くんがいたから安心できた。
すごく楽しかった。
「ねぇ、彩月」
「どうしましたか?」
手招きをされる。
「ハグしていい」
「えっ!?」
「まぁ、するけど」
そのまま抱きしめられる。
それを撮る高林さん。
「えっ、は、晴くん!撮られてますよ!?」
「撮らしておけばいいでしょ」
「で、でも……」
「凛桜くん!そのままでもいいね!いっそのことキスシーンでも撮っちゃう?」
「ゆ、結城さん!?」
色々言われても動く気配のない晴くん。
もしかして………、
「晴くん、疲れたんですか?」
久しぶりのお仕事かもしれないから、もしかしたら疲れているのかもしれない。
それなのにどかすのは酷だろう。
「晴くん、お疲れ様でした」
よしよし、と今まで頭を撫でられてたから、今度は私が撫でる番。
いや、本当は髪の毛を触ってみたかったのもあるけど…。
「晴くん、もうそろそろ休みま、」
視界が真っ暗になった。
口を塞がれた。
ゆっくり離れていくと同時に、明るい光が入ってくる。
「ねぇ、好きだよ」
「だぁい好きだよ」
ふにゃりといつもの違う表情。
そう言ってそのまま私に全体重をかける晴くん。
私はバランスを取れずに尻餅をついてしまう。
「彩月ちゃん大丈夫!?」
「え、あ………」
え、晴くんに…、
「キス、された………?」
当の本人は私に体を預けて眠ってしまっているみたい。
ちょっと待って。
顔が熱くなるのを感じる。
触れられたところが熱い。
「〜〜っ!!!」
どうしてこうなった!?