全ての記憶を《写真》に込めて

「じゃあもう1回ねぇ」
また口を重ねた。

そして気づいた。

「は、晴くん…、重くないですか?」

「重くないけどぉ」

晴くんが腰あたりに腕を回して軽く膝に私を乗せている。

「キスしやすいし、ねぇ」

妖艶な笑みを浮かべる晴くん。


「今度はもっと大人になってみる?」

「え、」

再び重なる唇。
だけど一瞬で離される。

「口、開けてよ」

唇を指でなぞられる。

そんな姿も艶かしい。

さっきとはまるでちがうキス。
長いから息が続かない。

酸素を求め口を開くとあたたかいものが入る。
「…んっ、んぁ……」

これが舌だということに気づくのには時間がかかった。
なんせ初めてだったから。


「んんっ」

ほんとに、息が続かない。

晴くんの服を掴んでいた手に力が籠る。

私の様子に気づいたのか晴くんが離れる。

「ごめん、やりすぎたかも」

いつの間にか涙が出ていたらしい。
申し訳なさそうに目をそらす晴くん。

嫌じゃなかったよってちゃんと伝えなくちゃ。

「…は、晴くんっ!」

こっちを向く。
少しだけ、ほんの少し触れるだけのキス。

「嫌じゃなかった、です」

一瞬唖然とした晴くんだったけどまた不敵な笑みを浮かべて、

「加減はするからもう一回やろ」

何度も影が繋がる。

観覧車に乗ったのは四時前だっけ…?
いつの間にか夕日も出た。

なんだろう、こんなに観覧車って長かったっけ。


「晴くん大好きです」
解放された私は晴くんの隣に座る。
「知ってる」
「これからも一緒にいたいです」
「俺も」

あぁ、こんなに同じ思いでいてくれるんだ。


「幸せだなぁ」
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