全ての記憶を《写真》に込めて
差し出されたカバンは晴くんの頭上に上げられ、問いかけられる。
「サボる、の?」
「まぁねぇ、二時間目はどうせわかるでしょ〜、数学だし」
数学は結構好きなほうだから別にわかるけど……、
「サボるのは悪いことだよ?」
そう言うと、晴くんは口角を上げて何かを企んでいる顔で笑った。その顔も見たことなくて魅力的。写真に収めたい。
「あれぇ?俺にお礼したいんじゃなかったっけぇ?」
うっ、そう言われるとそうだ。

「わ、分かった。二時間目だけだよ」
「じゃあ帰るよぉ」
そして、保健室を後にした。






その頃、保健室の貴美先生______________。

最近御国さんはさが教室に行っていることが多くなったと思っていたけど、お友達が増えたみたいだ。
それにしても…………、
「あの子達、教師の前で堂々とサボる発言したわね」
青春ね、あの頃に戻りたいわ。



「和久井くんに御国さんのことを守れるかしら」



そして、私も外へ出る。保健室の戸締りも忘れずに。





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