全ての記憶を《写真》に込めて

「はぁ、ケホッ、晴く、ん……速い」
「はぁ?こんなんでくたばってるの?もっと体力つけた方がいいんじゃない」
「…今度、走ろうかな…………」
「ま、もうすぐで着くけどねぇ」
そして、歩いて階段を上る。うちの学校は屋上に続く道が一つしかないから一回の渡り廊下を通ってから別校舎に行かなくちゃいけない。遠回りなんだよね。だけど、

「えへへっ、楽しいね!」
「何がぁ?俺は疲れたんだけどぉ」
「私誰かと廊下走ったことなかったから、なんか楽しかった」
全ての景色を写真に収めたかったなぁ。だけど、それは無理がある。
「よーし、じゃあ競走だよ!」
私が走ると、
「はぁ?競走?めんどくさいんだけどぉ」
なんて言いながらも付いてきてくれる。そして、カメラを持って後ろを向く。階段だから体が傾く。だけど、それでも撮りたかった。


「ちょ、危な、」

_______________パシャ。


シャッター音の次に響いたのは私が階段で転んだ音。痛いけど、それ以上に嬉しい。
「晴くんとの思い出だよ」
「はぁ…、驚かせないでよねぇ」
しかも、焦った顔撮ったよねぇ 今すぐ消してよねぇ、そう言って手を差し伸べてくれる。

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