全ての記憶を《写真》に込めて
「あ、そろそろ離していいよね」
「…っはい!すみません!」
今まで気づかなかったこと。まだ私は助けてくれた人の腕の中だった。
すごく、恥ずかしい…。顔に熱が集まる。
そしてじゃあ、と言って立ち去る男の人。


「絶対に写真撮りますから!笑ってなくても写真撮りますから!」


今日の笑顔みたいな写真を撮るために。


「せいぜい頑張ってねぇ」

バカにするような感じで言われてるみたい。
だけど、男の人は“頑張れ”って言った。
「よしっ、頑張ろっ」




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