全ての記憶を《写真》に込めて
「頑張れっ!いけー!」
バレーもバスケもルールは知らない。やった記憶が無いから。だから、ひたすら応援しながらシャッターを押すだけ。


「茉莉ちゃん!後ろー!」
実際に参加出来なくても、応援してるだけで楽しいかも。今まで保健室しか行ったことなかったから。
「晴くんも翔くんも頑張って!」
一組も二組も構わずカメラに収める。

「二組、頑張って!!!」







十分休憩に入った。そのまま続けていたら大変だしね。そして、私は撮った写真を眺める。

「みんな、キラキラしてる」

楽しそう。
心から笑っている写真はキラキラしている。だけど、どこか真剣さを含まれていて。


「なぁに見てるの」
「あ、晴くん!どうしたの?」
「あれだけ写真撮られたら文句言うしかないよねぇって」
そう思うのも無理はない。体育の時間の晴くんはかっこいいから。
「ごめんね、集中を妨げるようなことして…」
「別にいいんだけどさぁ」
はぁ、疲れた、と言って横に腰をかけた晴くん。

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