全ての記憶を《写真》に込めて
家に帰る。

「ただいま」

返事はない。だって私は一人暮らしだから。
迎えに来てくれるのはお母さんの妹の優美さん。優美さんはたまたま仕事場が近いだけ。私はお父さんとお母さんとは別々に暮らしているから優美さんにはお世話になっている。
お兄ちゃんはわけがあってもう数年以上会ってない。ちょっと旅に行ってくる、と言ったきりどこへ行ったかもわからない。
別に家庭環境が悪いわけじゃないんだけどね。お父さんもお母さんも仕事で忙しいから。
「でも、寂しいなぁ」




部屋に戻ってクローゼットを開ける。お母さんが作ってくれた服は私好みに作られている。
だけど、知らない人からのは私の好みではない。だけど、貰ってるからには着ていることもある。
「これを、処分……かぁ」
二年くらい前から毎日のように送られてくるから流石に着ないものはお母さんの仕事に使ってもらっている。

「でも、さすがに毎日はおかしいよね」
お母さんが作ってくれたものだけでも全然足りるし…。



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