全ての記憶を《写真》に込めて
帰ってこない。
あの後店員さんに、なにかお探しですか?、その服をお買い上げですか?………、と話しかけられた。店員さんも美人で、答えるのに精一杯だった。
「探しに行こうかな……」
そして、少し動き回ることにした。
「あんた、動かないでって言ったよねぇ」
「……っ晴くん!?」
急に後ろから声をかけられた。声の主は晴くん。手にはかごを持っている。かごの中を覗くと……、
「え、これって」
「わざわざ探してきてあげたんだからねぇ ほら、この中だったらどれでも合うんじゃないの 全員揃うまで試着とかしてたらいいし」
前聞いた身長に合う服少なかったんだからさ、感謝してよ、と晴くんが言う。わざわざ選んできてくれたらしい。しかも、合うものだけを厳選して。
そして、晴くんに言われた通り試着してみる。
「うわぁ…、可愛い…」
どの服もみんな可愛い。私なんかが着ていいのかなんて思ってしまうくらい。
さすが元モデルとしか言いようがない。でも、これだけ合うものがそろうと悩んじゃう。
「あ、終わったんだ」
外に出ると、携帯をいじっている晴くん。
「うん、全部可愛かった!すごいね、晴くんって」
「それで、決まったの? もうそろそろ元の場所に戻らないとあいついるんじゃない」
あいつ……?きっと茉莉ちゃんの事だろうか。
「で、でも一個には決められなかった…」
「ならさっさと決めてよね」
そう言われてもなぁ。