全ての記憶を《写真》に込めて
そして、また屋上に行く。
いつものメンバーだ。いつも気づけば翔くんが晴くんを連れてきている。

「あ、茉莉ちゃんのお弁当可愛いね」
「そう?お姉ちゃんが一緒に作ってるんだよね〜」
「凄いね、お姉さん」
「へぇ」
「美人だったら紹介してよ、茉莉ちゃん」
「え、彼氏持ちだよ?」
「全然いいぜ………っ痛い痛い!」
すると、晴くんの肘が翔くんのお腹に入った。痛そう。




_______________パクッ。



急に伸びてきた腕によって、油断していた私の卵焼きが消えた。
「えっ!?」
そして、私よりも驚いているのが翔くん。



「うんうん、やっぱりおいしいよねぇ」



食べたのは晴くんだ。
「わ、私でさえ彩月のお弁当食べてないのにー!」
「知らない 別にあんたには関係ないでしょ」
「え、晴くん」
「何」
「卵焼き、好きなの?」
言ってくれたらいくらでも作ってくるのに。
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