全ての記憶を《写真》に込めて

「彩月!大丈夫だったの!? え、待って!彩月の匂いする!部屋綺麗!それで、メール送ってきた人はどうなったの!?」
「ま、茉莉ちゃん落ち着いて」
「女の子とのデート断って来たかいがあったな〜 」
せっかくだからみんな呼んでみた。
茉莉ちゃんはすごく喜んでくれたし、翔くんは用事があったみたいだけど来てくれた。
晴くんは翔くんの首根っこを掴んで逃げないようにしている。その光景を見て微笑ましくなる。

やっぱり、こういう日常がいいなぁ。


「あ、彩月! このアルバム見ていい?」
「うん 多分、私が撮った写真ばっかだと思うよ〜」
十年くらい前からずっと写真を撮ってきたからアルバムが沢山ある。
昔に比べたら今はすごく上手くなってきた気がする。

「あ、これ知ってる人?」
「うん、お母さん 今は仕事で離れちゃってるけどね 優しいお母さんだよ」
私が初めて人を撮った時の写真。この時の写真はすごく褒めてもらえた覚えがある。

「あ、すげぇ美人じゃん 今度紹介してよ」
「人の母親に手を出すなんてことは流石にしないよねぇ、翔」
「どうだろ、もちろん!だから、その拳をしまえって!痛っ!」
「彩月のお母さんは仕事なにやってるの?」
「えっと、服作ったりしてるよ ほら、私服買うことなんてなかったし」
「あ、そっか!お母さん凄いんだったね!」
こうやって話していると、恐怖も不安も無くなる。

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