全ての記憶を《写真》に込めて
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「だって、晴一人暮らしだろ?」
俺の家?
まぁ、一人暮らしなんだけどさぁ。
俺だって男なわけ。
翔みたいな女好きじゃないけど、そういうのは普通気にするよねぇ。
「でも、和久井くんが彩月に手を出したら私泣くよ!」
「あ、そっか 晴とはいえ、思春期の男だもんな」
「……俺が手を出すと思ってるわけぇ?」
意味わかんない。
ていうか、翔に言われたらなんか腹立つ。
あんなやつに欲を出すと思ってるわけ?
「みんな、ありがとう」
「私は大丈夫だよ」
後ろで微笑んで座っているそいつ。
「大丈夫って言ったって、彩月 ストーカーだよ?怖くないの?」
「怖い、けどね みんながいるから大丈夫だよ」
だから、私はこの家にいるよ、と笑う。
なんか、馬鹿馬鹿しくなってきたかもね。
「分かった でも、何かあったらすぐ言ってよねぇ あと、学校行く時は迎えにいくからさ その保護者にもバレたくないんでしょ?」
「うん、ありがとう」
やっぱり晴くんは優しいや、と笑うそいつの笑顔は一言で言うと儚いような気がした。