愛されたいのはお互い様で…。
【もう、俺に聞く事はないのか?】
え?だから、別に…。解らなかった事は聞いた。後、内緒にされてる事があったとしても、私が元々知らない事ならもう聞かなくていい。
【ないよ?】
【…どうしてだよ】
【えー、じゃあ、何を聞いたらいいか、教えてくれたらいいじゃない】
【それじゃあ駄目だろ】
【でも…】
え、なに?
【宿題】
【え?】
【紫の“解らない”中にある】
【え、それは、ヒントなの?】
【さあな。とにかく、宿題だからな】
【解らないよ】
あ。
【そうやって解らない事を考えてみてくれ。じゃあな】
務…。
解らない事を考えても解らないじゃない。
もう、何をどう解らないって考えたら…。
何度も、好きなのかって聞くし。
いくら何でも、何もかも…解っていても、言葉ではっきり言えない事もあるでしょ…。
夏希さんは務に嘘をついた。それがなくて、内緒で部屋に入ってたりしていなければ、いつかは…務だって…。解らないけど。
一番近くで一所懸命仕事をしている姿を見続けていたら…思い方も変わって、つき合っていたかも知れないのに。
どうして、勝手に合い鍵なんて…そんな事、駄目に決まってるのに。
これも、私の方がずっと好きって事に入ってたの?…。好きだからそこまでしたって言いたいの…。それならそれは違う。
つき合っている私が務の部屋の鍵も持っていなくて、泊まる事もほぼない…。それも知ってたのかな。なら、勝ちたいとでも思ったのかな。
務の部屋に入る優越感みたいなモノでも感じていたのだろうか。それはちょっと…危険な満足感だ…。