愛されたいのはお互い様で…。
「ストッパーの無い私と居ると…ほぼ毎日こうなりますよ?それでもいいなら…ここに来ませんか?…」
はぁ…、答えられる余裕が…無い…。まだ肩で息をしているというのに。
顔を包まれまた深く甘く口づけられた。
「…最初は…飛び飛びで来るくらいでは?…」
「駄目ですね。来ない日はもう私が行ってしまいそうです。紫さんと暫く会わなかったでしょ?」
「はい」
「寂しい病と恋しい病に見舞われて、抜け殻になっていました。大袈裟な話ではありませんよ?紫さんを知ってしまいましたから、傍に寝ていないなんて堪えられません」
会わなかったのは務に期限を切られた宿題を考える為だった。それは伊住さんも知っていた。
「紫さんが一緒に居ないと心配で眠れません。こうして居ないと…」
ギュッと抱きしめられた。駄目なんです、と囁かれた。…はぁ。甘くて…腰に来る…。何だか色っぽいのに、どこか可愛らしい…。大人だから、我慢出来ないなんて事は無いのに、わざと堪えられなかったみたいに言う…。
どこか正直だからだ。欲しいモノは欲しいと言うし、駆け引きはするのに、好きな気持ちを隠さないからだ。こんな風に表現しなければ…甘さも愛しさも伝わらない。
…こんな近くに先生が居るのに…見習わないといけないな。
「全く来ないか、ずっと居るか、どちらかしかないという事ですか?」
「はい」
「では、ずっと居る事にします」
これは仕組まれた罠だと思う。私の性格を知った上で、二者にしたんだ。
「では…紫さんのタイミングで来てください」
「直ぐじゃなくていいのですか?」
「そこは希望は出来るだけ早くですよ?でも、紫さんのタイミングで。…来た事が早過ぎて後悔しないようにです。…あぁ、でも嬉しいですね…。来てくれるとご飯も一緒、お風呂も一緒に入れます。居る時はいつも一緒です」
「え?お風呂もですか?」
「はい、当たり前です。紫さんとはいつまで一緒に居られるか解らないのですから。やれる事はやれる時に、やっておかないと。後悔はしたくないですからね。…という事で、そろそろ、私、また大丈夫になって来たのですが…」
何か答えると、また、言い方で言葉の罠があるといけない…。黙っていよう。
「明日、仕事でも、理由になんてさせませんよ…」
ハハハ…どうせなら、仕事があるからもう無理ですって言うところだった。…はぁ、本当に何でもバレてる。
複雑で…空虚な気持ち…当たり前に解ってしまうよね…こんな日だから。さっきまで務と一緒だったんだから。