愛されたいのはお互い様で…。

「やはり紫さんのベッドは狭いですね…変にスリルを感じてしまいます。これはこれでまた…」

伊住さんのキングサイズに比べたら、二人並んでいると余裕が少ないのは解る。落っこちてしまいそうな気持ちになるのは解らないでもないけど、実際落ちはしない。
これでもセミダブルなんですけどね?

「落ちない理由にずっと抱いていられますけどね」

…そうじゃなくても、抱き枕かってくらいずっと抱いてますよ?

「伊住さんは誕生日はいつですか?」

「私は12月生まれですよ。まだまだ先ですね」

クリスマスが誕生日だったりして…。

「…フ。クリスマスかもって思いました?」

「はい」

「正解です。敢えて日を言わなくても、みなさんそういう風に想像してくれますから。大体、当たりますね。
私の誕生日も、一緒に居られていたらいいですね…。紫さんにおめでとうと言って抱きしめて貰いたいな」

「伊住さん…そんな事」

「解らないでしょ?だから、私は毎日紫さんの事が好きで堪りませんよ?大事に思わない日なんて無いんです。…今日の一瞬でも疎かにしてしまって後悔したくないですからね。
失ってもいいと思っているのでは無く、失いたくないから、思っているのですよ?
ちょっと…濃くて熱いですかね。
だから、欲しいのも…できるだけ沢山欲しいのです」

「はぁ…何て言ったらいいのか…」

強い思いに何て答えたら…。

「沢山言葉は要りません。そこは好きでいいんですよ」

「はい。とても大切に思っています。…大好きです」

抱き起こされた。

「もう、貴女という人は…」

顔を包まれ優しく唇が触れる。柔らかい唇が食む。

「大好きだなんて…堪らないですね…そろそろ…、また、大丈夫みたいですよ?私…」

沢山愛され、深く繋がったまま暫く抱きしめられた。
甘い攻めは何度も繰り返された。
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