愛されたいのはお互い様で…。
後ろから抱かれるようにして朝まで眠ったけど、何だか、中途半端に曖昧になっただけで、務のずっと一緒に居たいという気持ちも、聞かれた事は結婚を考えてだったのかも…、ただ居たいだけなのか結局は解らないままだった。
…務。その気があるなら、務のタイミングで、プロポーズなり、してくれるはずよね?
あれは、その気持ちがあるなら…その為に確認したんだとか、言ってくれるのは無理なのかな。
結婚は解らないけど、一緒に居たい事は確かなんだ…。ん?ずっと一緒に居たいかと聞かれたのは私の方で…。務がずっとって、言った訳じゃ無いんだった…。務はどう思っているんだろう。改めると不安になる…。
私が居たいと言ったら…その確認が取れたら、どうだというのだろう。…迷惑に思ったのだろうか…。
何も決めて無いモノは、何度も同じ考えをぐるぐるするだけなんだものね。
「…務…そろそろ起きないと、間に合わなくなる……務、起きて…」
胸元を軽くとんとんした。
「ん…あぁ…う、ん、…おはよう」
「おはよう…」
「ん…紫」
抱きしめられた。
「はぁ。…堪らん…」
「え、務…どうしたの…」
「はぁ、今日が仕事だって、忘れて眠ってたよ。…夢見たんだ、今日は休みだって。だからその気で寝てたんだ」
「フ。随分都合のいい夢だったのね…」
「あぁ、…何だかふわふわして気持ちいい夢だった。きっと…はぁ…、紫をこんな風に…抱いて寝ていたからなんだろうな。…あ゙ー、切り替えが出来ない…。今日はもう行きたくない…。ずっとこうしてる。もう行かない気になってるんだ。行きたくない、紫」
掻き寄せるようにして何度も抱きしめられた。珍しいこんな務、見た事なかった…何だか…可愛い。だけどね…。
「…もう。そんなの駄目でしょ?務が急に休んでしまったら困るでしょ?それに週末じゃない。今日行ったら休みだと思って、ね?…さぁ、起きてください。急がないとどんどん時間が無くなってるよ?」
「はぁ…解ってるよ。…ん゙ん゙、甘い朝っていうのは、俺には向いて無いかもな、ハハハ…よし!」
起きた務は軽くシャワーを浴びて急いで帰って行った。一旦自分の部屋に帰って着替えなくてはいけないからだ。私の部屋に務の着替えは無い。
務の言った言葉…甘い朝が無理なら、一緒には暮らせない…。甘く無いなら暮らせる…。甘い状況にならないように別々に眠りにつく? どれだといいんだろうかな。
一緒には居ても、暮らしは一緒じゃない、とかなのかな。それをずっとって事かな。
…私、…フ。まだまだ早い段階のつき合いと変わらないような…務の発した言葉にこんなに考えてしまって…。言葉の奥にあるモノ…上手く理解出来て無いな…。ただ言っただけかも知れないのに。…はぁ。
嫌われたくないようにと思ったりするのは、まだ…よく言えば初々しい、悪く言えば、務の事、何も解ってないって事…だから不安って事かな。