愛されたいのはお互い様で…。

先に朝食を食べてしまわないと…。それから掃除機を掛けて…。務に連絡を入れてみよう。

朝食をちゃんと完食して片付け、掃除機をかけた。
起きた時から思っていたけど、リビングは自然光が沢山入って、照明は無くていいくらい明るかった。
消して見た。やっぱり明るい、これで充分だ。

大きな硝子戸を開け放つといい風が入る。…気持ちいい。
夏なのに涼しいくらい。
多分、生い茂っている木立があるからだろう。この緑がもう既に強い朝からの陽射しを遮ってくれているんだ。
雨が降った後というのは、段々気温の上昇とともに蒸し暑くなってくるものだが、濡れた地面が土で、直接陽射しが当たっていないのも涼しい元になっているのだろう。
余計な、中途半端な手を加えなければ、自然は元からバランス良く、季節に応じて対応してくれているものなんだと思う。
はぁ、こういう場所で目を覚まして、日光を浴びながら伸びをしたら、さぞかし、毎日気分もリセットされるだろう。


どの部屋も床に置きっぱなしの物も無く、掃除機をかけるだけの作業に時間はそう掛からなかった。
天井が高くて圧迫感が無くて…とにかくゆったりと広い。二階建てなのだが三階分の高さはあるだろう。自分の部屋に帰ったら窮屈さを感じてしまうだろうな…。

掃除機を片付けて、携帯を手に腰掛けた。

もう、寝ているという時間でも無いだろう。
ありのままを言えば、務もまた、説明してくれるだろう。

【おはよう。昨夜は眠ってて、メールに気がつかなくてごめんね。務もお店に行ってたんだね】

【俺は休憩を兼ねた晩御飯に行った。まだ仕事に時間が掛かりそうだったから、一息入れに行ったって感じだったよ】

思えば、傘、務が預かって帰るって事も出来た…。でも、止んだりすると、会社に忘れたり、二度手間三度手間になりがちか。
そう思えばお店にあるのが一番か…。
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