愛されたいのはお互い様で…。
会わない?って、言った事、どう思っているんだろ。
何も罪悪感を感じる事実が無いなら、普通に会いたいから会ってるんだけど…、だよね?
私はそれでは無く、ほぼ、臨戦モードなんですけど。
とにかく、まずは脳に栄養よ。飢えた脳では頭が回らないから。…ですよね、伊住さん。
小さい違和感も見逃す訳にはいかない。鈍感だと見抜けないかもだ。
…ぁ、…早速浮かんだ。…はぁ。
一緒に居たからって、務の部屋とは限らない。相手の部屋とか…そういうホテルとか…。選択肢は色々と別にもあった。
「…え?」
「ついてるぞ、ここ、海老カツのタルタル…」
隣から伸びて来た務の指が唇の端を拭った。…言うから、本当に付いてたんだ。自分でも軽く拭った。
「先に言って?びっくりしちゃった」
「紫…」
首を引き寄せられ、唇を食べられた。
「ん゛…こら、私は海老カツサンドでは無いでしょ」
「フ。似たような物だよ、今ならな、同じ味がするから」
…あ。改めてまたキスしようとしたから、サンドイッチを付けてやった。…何だか、今は…出来ない。勝手だな…。受け入れた訳ではなかったけど…不意でも、伊住さんにはされてるのに…。
「ねえ?もしかして、務、本当はご飯食べてるんじゃないの?」
何の脈絡も無かったし、何も考えても無かった。ただ思いついて言っただけだった。
でも務は、そうなんだ、と言った。