愛されたいのはお互い様で…。

途中で務に会う為に跡を追ったのでは無い。務の居る部屋に行く為だ。

途中で務に会う事はなかった。いつも通る最短ルート、特に走る事もなく歩いているのだから、追いつく事はまず無いだろう。歩いている道が違えば尚更会わないだろう。

務のマンションに着いた。やはり途中で会う事はなかった。

部屋の前に来た。
……フ。私達はお互いに何をしているのだろう。
務は心配だから来たって言った。…疑ってではないって。
…私は、心配というより、疑っているから来た。ほぼ疑心しかない。

躊躇した。…。押した。ピンポン。

「は〜い」

……え?

「お帰りなさい、あっ」

「間違いました…」

押し戻すようにドアを閉めた。

何も告げず行動したから、罰が当たったのか。罰とは違うか。これが現実なのか…。

これで解かった。だから、休みの日は、務は私と会わなかったんだ。今日はさすがに…たまには呼ばないとまずいかもと思って、私を部屋に呼んだのかも知れない。
女性が出た。
あの女性、務が帰って来たら、女の人が訪ねて来たって、報告するよのよね?それともずるくて、内緒にするかも知れない。
私が今、ここであった事を務に言わなければ、何も、今までと変わらないのかも知れない。
何も悪びれる事なく…変わらずつき合うんだ…。
もう、解らない。務の事、信じられないかも…。
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