愛されたいのはお互い様で…。

伊住さんのところにはまだ行ってはいけない。
でも未払いのままだと靴の代金は気になる。

のんびりと食事を済ませ、部屋に帰った。
…何だか、この週末は長い…。色々あり過ぎた。

…近くで見た夏希杏子はやはり綺麗だった。
ん…。洗練された雰囲気もあるし、出来る女って感じがした。厳しく仕事をしている現れだろう。
務とは、隣合って居る姿がとても似合うだろう…。

私に張り合う必要なんてないじゃない…。貴女の方がずっと素敵よ?
同じ職場、後輩で、務について仕事を教わってた。近くで務を見て、感じて、当たり前だけど、一緒に居る時間は長い。私と居た時間よりあっという間に超えてるだろう。
私の知らない務…。私よりずっと務を知っているだろう。
…そういう事かな。私の方がずっと好きって言ったのは。それもあるからだよね、きっと。
一緒に居るという自信があるからだ。

さて…と。…んー。

【靴の代金をお知らせください。請求は直接でなくて、メールでお願いします】

【先に釘を刺されてしまいました。つまらないですね。考えておきます】

あ、…。フ。伊住さんらしい。
これでは、いつまでも気になるんだけどな…。
これはこれで、終わらせない手なのかな。
日曜は仕事なのだろうか。

【靴とは関係なく、お茶しに来ませんか?
食事は済んでますか?済んでいるなら食後のお茶にしませんか?
下心はありませんから安心して来てください】

【今日はお休みなのですか?】

【半休日になりました。午前中のお客様が帰られましたので】

そうですか…。

【何か、お茶のお供を持って行きましょうか?何が好きですか?】

【そうですね、遠慮なく言えば紫さんが作ってくれたプリンが好きです】

…ハハハ。…これも手かな。

【では、持参致します】

【いいえ、持参ではなく、うちで作ってください。材料はあります】

…作る、その時間分も、居る事になる。

【解りました。何時頃、伺ったらいいですか?】

【今から後、ずっとです】

言い回しが問題ありよ…解りましたと迂闊な返事をしてはいけないな…。

【では、適当な時間に伺います】

【お待ちしてます】

危ない、危ない。
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