月恋歌
月恋歌
私が中学生の頃見た夢を見た。
水の音と虫の鳴き声が静かに息づく、綺麗な綺麗な満月の下の湖のほとりで顔は見えないが黒髪の長身の男性が私に向かって跪くと、恭しくその手を取り手の甲に優しく口付けをして、
「貴女が好きです」
と言って告白してきた。
月明かりの下、あと少しで顔が見える、というところで夢は覚めてしまった。
「これは運命の王子様なんじゃないか!?」
そう思った私、宮塚サチはぴょんぴょんとはねた寝癖もそのままに恋する乙女のように、胸の前で手を組んで妄想の世界に入り込む。
だって、同じ内容の夢をまた見たんだよ!?
これは運命を感じちゃってもいいよね!?
そして私はまだ見ぬ運命の王子様に出逢うために今日もルンルン気分で必死におめかしをする。
さあ、いざ制服に着替えようと思って下着姿のままワイシャツに手を伸ばした時だった。
ガチャっと自室のドアが開いて、見えたのは金色の所々つんつんしている髪の毛。
「おい、サチ。準備終わったか⋯⋯って、げ」
その見た目は確実に不良の男、幼馴染みの春野ハルキの視線は私の下着に向かっている。
「こ、こここここの⋯⋯っ!変態っ!変態っ!!出てけっ!!!」
私は顔を真っ赤にして、手当り次第物を投げ付けていく。
「ごめんって!痛いから投げるの止めろっ!出るから!!すぐ出るから!!」
ハルキは腕で顔を守りながら私の部屋から退散した。
私とハルキは幼稚園も小学校、中学校、そして高校もずっと一緒の腐れ縁と呼ばれる間柄の幼馴染み。
金髪だからか、不良に見えるけれど実際は高校デビューしようと思って茶髪にしたつもりが色が落ちすぎて金髪になってしまっただけのただのヘタレ。
直すのも面倒臭いから金髪をキープしているら強いけど、ちょっと運に見放された不憫な幼馴染み。
水の音と虫の鳴き声が静かに息づく、綺麗な綺麗な満月の下の湖のほとりで顔は見えないが黒髪の長身の男性が私に向かって跪くと、恭しくその手を取り手の甲に優しく口付けをして、
「貴女が好きです」
と言って告白してきた。
月明かりの下、あと少しで顔が見える、というところで夢は覚めてしまった。
「これは運命の王子様なんじゃないか!?」
そう思った私、宮塚サチはぴょんぴょんとはねた寝癖もそのままに恋する乙女のように、胸の前で手を組んで妄想の世界に入り込む。
だって、同じ内容の夢をまた見たんだよ!?
これは運命を感じちゃってもいいよね!?
そして私はまだ見ぬ運命の王子様に出逢うために今日もルンルン気分で必死におめかしをする。
さあ、いざ制服に着替えようと思って下着姿のままワイシャツに手を伸ばした時だった。
ガチャっと自室のドアが開いて、見えたのは金色の所々つんつんしている髪の毛。
「おい、サチ。準備終わったか⋯⋯って、げ」
その見た目は確実に不良の男、幼馴染みの春野ハルキの視線は私の下着に向かっている。
「こ、こここここの⋯⋯っ!変態っ!変態っ!!出てけっ!!!」
私は顔を真っ赤にして、手当り次第物を投げ付けていく。
「ごめんって!痛いから投げるの止めろっ!出るから!!すぐ出るから!!」
ハルキは腕で顔を守りながら私の部屋から退散した。
私とハルキは幼稚園も小学校、中学校、そして高校もずっと一緒の腐れ縁と呼ばれる間柄の幼馴染み。
金髪だからか、不良に見えるけれど実際は高校デビューしようと思って茶髪にしたつもりが色が落ちすぎて金髪になってしまっただけのただのヘタレ。
直すのも面倒臭いから金髪をキープしているら強いけど、ちょっと運に見放された不憫な幼馴染み。