MOON WOLF
パリンッ

次の日、私は鈍い音で目が覚めた。

何事…?

急いで階段を降りてリビングに向かう。

ドアを開けると

「もう!いい加減にしてよ!!あなた何考えてるの?!」

「何言ってるんだ。お前は金を使いすぎなんだよ!!今月残りどうするつもりなんだ?」

…朝から何やってんの、ほんと…

家は決して裕福な家庭ではない。

どちらかと言うと、お金はない方で、

毎月、給料日前になるとこうして喧嘩が勃発するんだけど、

「…」

床に散らばった食器たち、

…こんなに酷くはなかったのに…

私は二人を置いてリビングを出た。

そして優結の寝ている部屋に行き、

「優結ー!あっさだよー!おっきってっ!」

なるべくハイテンションで起こし、

「いい天気だからお外にお散歩行こっか!」

優結と二人が仕事に行くまで公園に行くことにした。

「うん!」

優結も幸い、ノリノリだったのですんなり玄関まで行けた。

しかし、

「どこに行くの?!」

後ろからヒステリーな声が聞こえた。

身体中の毛が逆立った。

「…」

優結と公園に逃げる。なんてこと言えず、

言葉に困っていると

「最近何しているの?この前も帰りが遅かったみたいだけど、いきなり家飛び出して」

「そして今日は何?部屋着でこんな朝早くに…」

「近所の人が見たらどう思うか…」

だって…しょうがないじゃない…

優結が起きてリビングに行くのは止めたかった…。

でも家にいると声が聞こえて優結が不安になってしまうから

「もうスマホ取り上げるから。」

そう言うと、手に持っていた私のスマホを取り上げリビングに戻って言った。

つまり、今の状況を整理すると

スマホ取り上げ、優結の送り迎え以外は外出禁止。

ということは愛斗たちには、もう会えることはないの?

私だって絶対に次会えるとは思ってなかった。

でも電話番号は教えてもらったし、それに

繁華街に行ったら会えるかも…

なんて期待もしていたのは事実で

でもどちらの手段も絶たれた今

愛斗達に会う術はもう無い。

家電は中学生のとき、ママが

「使わないから電話はとめてもらった」

そう言っていて、宣言通り家電は使えなかった。

あの時も結構お金がやばかったらしくて。

とりあえず、愛斗に会えないということが

私の中ですごく重くのしかかった。
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