MOON WOLF
公園に行くのは諦め、優結に謝って

仕方なくママに続いてリビングに戻った。

パパはリビングに戻る途中、すれ違って仕事に行った。

リビングに着くなり、

「ああもう!ほんっとにうざい!」

ママの憂さ晴らしが始まった。

私は朝ごはんを作りながら聞く

「なんなの?!マジでケチすぎ。意味がわかんないわよね、あの人!!」

「うん」

「早く死んでしまえばいいのよ」

「そしたら保険金が出るし、ねえ?」

「うん」

私はずっと無表情。

無表情しか自分の中の気持ちを沈めることができないから

繰り返される大好きなパパへのひどい言葉の数々

もう慣れたよ?大丈夫。

こんな事でへこたれる私じゃないよ、大丈夫だよ。

こんな事言ってるけど、ママはホントは優しい時は優しいから

大丈夫、大丈夫

心の中で言い聞かせる。

その日から私は、

外に出れない、スマホもない。

という状況なので家の外のことが全くわからなくなった。

テレビでは優結の見たいアニメか、ママが好きなパチンコのテレビしか流れていなくて

私はただ黙々と家事をして優結とすごす毎日だった。

私はもう何も考えないことにした。、

私はただ黙って家事をして、ママの愚痴を聞いていればいいだけなんだ。

ただそれだけ。何にもない、大丈夫。

そんな日々が2、3週間続いたある日の夜。

またリビングではふたりが喧嘩している。

優結はもう寝た。

私は二人の声が聞きたくなくてイヤフォンをしながら洗濯物を干していた。

すると、肩をポンッとたたかれ

「マリア、ママ達別居するから」

突然そう告げられた。

私はそれを聞いた時、全身の力が一気に抜けていくのを感じた。

私が必死に、優結がせめて高校生になるまでは家族で住んでいたい。

と、思ってママの機嫌を取りながら過ごしてきた日々。

それは全部無駄だったらしい。

それを頭で理解すると私は

「ちょっと頭整理したいから外に出ていい?」

ホントは今すぐ出ていきたいけど、そんなこと許されない

「…わかった」

今回はあっちも悪いと思っているのかすんなり許してくれた。

私は了承の程を聞くととぼとぼと歩いて家を出た。

向かった先は近くにある結構広い公園。

あそこは静かで夜は誰も来ない。

今の私には丁度いいところだと思った。
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