はつこい
ふわっと体が浮いたと思うと‥!!!!
あたしはけいくんにお姫様抱っこをされていた。
「きゃっ!あっ、あのっ!!重いので‥!本当におろしてくださいっ!大丈夫なので!!!」
「いいからじっとしてろ」
そう言ってけいくんは、すたすたと外に歩き始めた。
周りにいたひろやくんも、赤髪イケメンヤンキーさんも金髪イケメンヤンキーさんもみんな目が点になってる。
下校途中の生徒たちもこちらに注目してる。
お願いおろして‥‥女の子たちの目が怖いよ‥
校門の前にとまってる高級そうな車の前までつくと、運転手さんがでてきて車のドアを開けた。
「‥ん。」
「‥っえ?あの、ど、どうしてあたしが‥?」
「送ってくっつっただろ」
「いやでも本当に大丈夫なので‥!1人で帰れます‥!」
「送って帰ってもらえよ!せっかくけいさんが言ってくれてるんだから!」
そうひろやくんがニコニコしてる。
本当に大丈夫なのに‥だけどきっと何回大丈夫って言っても、この人は送るつもりだね。
大体、後ろもちゃんとみらずに急に振り返って走ろうとしたあたしがわるいのに‥
「‥う、うぅ‥お、おねがいしますっ」
「‥おう」
そう言って、ひろやくんとイケメンヤンキーさんたちに挨拶をして、車の扉をしめた。
「お家はどちらで?」
「あっ、松駅の近くです‥!松駅におろしてもらえれば‥」
「いえ、お家まで送らせていただきますよ」
優しく微笑んで、運転手さんがそう言ってくれたけど‥
「いやでも‥」
「お家までの道、説明してくださいね」
「‥はいっ」
申し訳ないなぁ。初対面の人に送ってもらうなんて‥しかも、隣に座ってるけいくんとも今日あったのがはじめてだよ!?変だよこんなの‥
車の中は静かだった。