✧*。 弾丸じゅえる 。:°ஐ
「那瑞菜さんっ」

「はいはいっ?」

「日常では 色んな人を見掛けますが、」

「えぇえぇ、そうですねぇ」

「最近、珍しい人とか面白いエピソードとか
ありましたか」

「わたしは~、最近は~別に無いですねぇ。
花梨さんっ、あったんですか?」

「いやぁ~まぁ、ちょっとしたねっ、」

「ほう」

「こないだ、こんな事があったんですょ~」

「ハハハハ♪そんな事が~」

「そうそう♪って、、、終わっちゃったょ。
まだ言ってないっ」

「あっまだ言ってない?」




観ている人達の前の方で、少しの笑いが起きる…♪

花梨と那瑞菜は、初の試みの初笑いに
僅かながらもガッツポーズな胸の内のテンションで、
漫才を進めた。




「こないだ~、買い物帰りに歩いてたら~」

「ふんふん」

「前から、知らないお爺さんが歩いて来てて、」

「そりゃ、知らん人でも歩くことあるわな」

「それがな、めっ……………………」


「どうしたっどうした??」


「……………っちゃ歩くの遅くて、」


「どうかなったんか思ったわ」

「いや、ほんとに めっ…………」

「わかったわかった、めっちゃ遅かったんやな?」


「遅いってもんやないよ、こんなよ。心配したもん」




花梨が、見たまんまを それはそれはゆっくりと真似て示す。

観ている人達から 納得の笑いが。




「で、私の横を通り過ぎるときにな、」

「うん」

「ポロっ…て、口から、」

「ん?」

「入れ歯」




沸き出す、ざわめき笑い。

花梨が、話を続ける。




「なんとまぁ~、
あれを拾うときの お爺さんの速かったこと」


「歩くのめちゃめちゃ遅かったのになっ」

「そうっ」

「やっぱ、
恥ずかしかったんやろうな、お爺さんっ」

「いやぁ~!びっくりした!」

「びっくりするわなぁ、
目の前で 入れ歯が突然落ちたら」

「めっちゃ速くてっ拾うのっ」

「そっちかいっ」



笑いが起きることに、
花梨と那瑞菜は、初めての快感を覚える。



「そんで、その後もっ」

「後もっ?」

「そうっ。
歩いてたら、突然 聞こえてきてね、」

「聞こえてきた?」



「うんっ。

『俺っ、掘るの上手い!』

『いやっ、俺の方が上手い!』

『見てみぃ、俺なんかっこんなに掘ったった!得意だもんねー!!』……って」



「BLかっ」


「さすがっ」

「ん?」

「流石っ! 好きやからねぇ~那瑞菜さん」

「ツッコミやんっ」

「好きなんですょっこの人っ」



隣の那瑞菜を指さしながら、観ている人達に言う。

観ている人達からの微笑。



「違うわっ」

「家に沢山持ってるんですよ」

「持ってないわ。話し逸れたやんっ」

「あぁあぁ、まぁまぁ」

「で、何?」


「砂場で、幼稚園くらいの男の子たちが山を掘ってたわ」




『あ~ぁ♪』と笑う、観ている人達。




「そうかぁ~。
男の子たちだけってのが、ゾクゾクするなぁ~」

「せんわっ」

「はぁ~、山掘ってたんかぁ~、
欲求不満かぁ~斬新やなぁ」

「違うやろっ、もうえぇわっ」


『どうもっ、ありがとうございましたぁー!!』




花梨と那瑞菜は、声を揃えて御辞儀した。




「いつもやってるのー??」

「突然でびっくりした~!!」

「今度いつやるの~??」

観ている人達の中から、ふたりへと声が飛び交う。




「今日初めてやってみたの~♪」

「お騒がせしました~♪」




那瑞菜兄貴は、キャンピングカーの上と側面を閉じ、
ふたりは、御辞儀をした後、
マネキンの様に決めポーズで椅子に腰掛け、
その場から 撤収して行った。






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