…好きか?
「せっかく来たのに
海、入らないの?」
ペンションのバルコニーに寄り掛かり
大きな欠伸をするゼンの背後から
声を掛けた会長。
「…」
顔を見ずとも
誰の声かわかったからか
ゼンは何1つ返事をしない。
「よく今日は来たね。
“彼女”のため?」
言いながら会長は少しずつ近付き
同じように寄り掛かり、隣に立った。
その気配に察し
ゼンは嫌悪感を出しながら
横目で会長を睨んだ。
「そんなに睨むなよ。
俺って本当、キミに嫌われているんだね」
「わかってんなら話掛けんな」