…好きか？

ドスの利いた低い声で警戒するも
会長にはまったく効果なし。



「ねぇ、答えなよ。
　ミヤビのため？
　それとも、イチカちゃんのため？」



ドストレートな物言いに
他人に踏み込まれるのを嫌うゼンにとって
憎悪しかなく。



「そういうアンタは
　必死そうだな」



バカにしたように
フッと鼻で笑って答えた。



「イチカに相手にされてないみたいだし。
　まぁせいぜい頑張んな」



捨て台詞だけ吐いて
ゼンはその場から去ろうとすると…



「キミこそ。
　イチカちゃんを忘れなよ」



ボソッと発した会長の言葉を
ゼンに聞こえていた――