…好きか?
誰にも有無を言わせず
ゼンはそのまま横抱きにし
無言で歩いていく。
その表情が
あまりに険しかったため
誰も彼に声を掛けられない。
ペンションに着くなり全員駆け寄ったが
あまりに惨い姿に
誰もが言葉を失っていた。
ゼンが連れて帰ってきた姿は
もちろん副会長の目にも映っていた―――
「草摩くん…
イチカちゃんは俺が診てるから
キミはミヤビのところに戻って」
会長の言葉に
ゼンは耳を傾けなかったが…
「ミヤビを傷付ける気?」
そう言われ少し考えたゼンは
無言で部屋を出て行った。