…好きか?

「な、何…?」


「…アイツのところに
 行くのか?」



どうして
そんな事、聞くの…?



「あの男の元に…」



腕を握る手に力が入っていくのを
強く感じる。



「アタシは教室に戻るだけ。
 何言ってんの、アンタは…」



軽めに否定するも
急に真剣な顔つきのゼンは
今度はしっかりと
瞳はアタシを映している。



「ゼン…?」



普段そんなに見つめられる事なんて
ないのだから
捕らえられた眼差しに
アタシは視線を外せなくなり
その場で固まってしまった。


そして
いきなり―――



「俺にしろよ」



掴む腕を引っ張り
自分に引き寄せ
アタシにキスをした――

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