…好きか?
だから敵になれば
アタシの存在は意味をなさない。
味方なら
負ける気がしない。
そういう相手。
アタシがボールを持てば
ゼンは必ず先を見る。
アンダーハンドパスを出せば
いつの間にか現れて
一瞬で自分のモノにする。
1度手にしたボールは
次の瞬間にはゴールへ向かう。
アタシがアシストして
ヤツがフィールドゴールする。
ゼンがシュートモーションに入ると
手にあるボールと
それを見据えるゴールだけに
一点集中。
ヤツの手から離れたボールは
美しい弧を描きながら
まるで見えない引力に引き込まれるかのように
ゴールへ吸い込まれていく―――
時間が止まったかのように。