彼女の居場所 ~there is no sign 影も形もない~
おまけ
タヌキの策略 1
タヌキの策略1 ~康史side
早希の住む街の近くに早く行きたくて休日返上で必死になりプロジェクトを進めた。
うちの会社の本社が主導して企画をし、地方のM市にあるうちの支社と早希の住むS市にある関連会社で高橋良樹の父親が経営するTHコーポレーションが共同で運営することになっている。
企画が通れば実際の本部は支社に移る。
3ヶ月程支社に出張する事ができる。
うちの支社とTHコーポレーションは隣接市だ。
空き時間に早希を探して会いに行こうと思う。
どうしても諦められない。俺には早希が必要だ。
やっとめどが付き、来週には支社にプロジェクトの本部を作れそうだという頃。
神田部長からプロジェクトの本部をTHに置きたいという提案がされた。
理由は交通の利便性や支社とTHコーポレーションの社員交流だとか何とか。
俺としても早希の実家に近いTHの方が良いに決まってる。即決した。
THサイドの準備や手配は神田部長と良樹に任せて、俺は長期出張の準備に負われた。
プロジェクトだけにかかりきりになれない。
副社長としての通常業務もこなさなくてはならないが、なるべくあちらにいたい。
そのために今できる限りの事をしておかなくては。
デスクワークに負われていると、副社長室に神田部長がやって来た。
THコーポレーションの受け入れ準備も順調に進んでいるという。
話をしていると、社長もやって来た。
何なんだ?
社長はニヤニヤしながら
「ちょっとコーヒーでも飲もう」
と応接用のソファーに誘う。
もともと先に頼んでいたのだろう、秘書の佐伯さんが3人分のコーヒーを持って来てくれた。
「社長、さっきからそのニヤニヤは何です?何か言いたい事があるなら早く言って下さいよ。忙しいんですから」
イライラしてきつめの言い方をするが、社長のニヤニヤは止まらない。
よく見るとタヌキまでにこやかだ。いや、嬉しそうな顔をしている。意味がわからない。
「神田部長も何ですか。2人揃って。休憩なら社長室でしたらいいじゃないですか」
はぁ、本当にイライラする。
「康史、そんなにイライラするなって」
社長は社長の仮面を外して兄の顔をした。
「イライラの原因、なくしてやるからさ」
はぁ?
イライラの原因だって?
なくなるはずないだろうが。
「どっかの社長令嬢と見合いだとか女性を紹介するとかくだらないことはやめてくれよ」
露骨にイヤな顔をしてやった。
俺が欲しいのは早希だけだ。
「絶世の美女ではないんですが、かなりきれいな子なんですけど、副社長には必要ないですかね」
タヌキがいきなり言い出した。やはり笑顔で。
「そういう女はいらない」
キッパリと断った。
「でも副社長、写真くらいご覧になりませんか?」
なおもタヌキはしつこい。
兄はニヤニヤどころかくっくっと笑っている。
「神田部長、しつこいですよ」
無視して書類片手にコーヒーを飲んでいると、神田部長が社長に自分の携帯電話を見せていた。
「こんなにかわいいのに。ねぇ、社長」
「おっ!かわいいね。うん、そうか。美人の血筋か」
「そうみたいですね。で、こっちが最新の写真で」
「ああ、これはこれは。ふーん、いい雰囲気だね」
どんな会話なんだ。
神田部長の紹介って写真館で撮影された見合い写真じゃなくてスマホの写真なのか。
しかも、何枚もあるらしい。
2人でニヤニヤしながらスマホをタップしている。
早希の住む街の近くに早く行きたくて休日返上で必死になりプロジェクトを進めた。
うちの会社の本社が主導して企画をし、地方のM市にあるうちの支社と早希の住むS市にある関連会社で高橋良樹の父親が経営するTHコーポレーションが共同で運営することになっている。
企画が通れば実際の本部は支社に移る。
3ヶ月程支社に出張する事ができる。
うちの支社とTHコーポレーションは隣接市だ。
空き時間に早希を探して会いに行こうと思う。
どうしても諦められない。俺には早希が必要だ。
やっとめどが付き、来週には支社にプロジェクトの本部を作れそうだという頃。
神田部長からプロジェクトの本部をTHに置きたいという提案がされた。
理由は交通の利便性や支社とTHコーポレーションの社員交流だとか何とか。
俺としても早希の実家に近いTHの方が良いに決まってる。即決した。
THサイドの準備や手配は神田部長と良樹に任せて、俺は長期出張の準備に負われた。
プロジェクトだけにかかりきりになれない。
副社長としての通常業務もこなさなくてはならないが、なるべくあちらにいたい。
そのために今できる限りの事をしておかなくては。
デスクワークに負われていると、副社長室に神田部長がやって来た。
THコーポレーションの受け入れ準備も順調に進んでいるという。
話をしていると、社長もやって来た。
何なんだ?
社長はニヤニヤしながら
「ちょっとコーヒーでも飲もう」
と応接用のソファーに誘う。
もともと先に頼んでいたのだろう、秘書の佐伯さんが3人分のコーヒーを持って来てくれた。
「社長、さっきからそのニヤニヤは何です?何か言いたい事があるなら早く言って下さいよ。忙しいんですから」
イライラしてきつめの言い方をするが、社長のニヤニヤは止まらない。
よく見るとタヌキまでにこやかだ。いや、嬉しそうな顔をしている。意味がわからない。
「神田部長も何ですか。2人揃って。休憩なら社長室でしたらいいじゃないですか」
はぁ、本当にイライラする。
「康史、そんなにイライラするなって」
社長は社長の仮面を外して兄の顔をした。
「イライラの原因、なくしてやるからさ」
はぁ?
イライラの原因だって?
なくなるはずないだろうが。
「どっかの社長令嬢と見合いだとか女性を紹介するとかくだらないことはやめてくれよ」
露骨にイヤな顔をしてやった。
俺が欲しいのは早希だけだ。
「絶世の美女ではないんですが、かなりきれいな子なんですけど、副社長には必要ないですかね」
タヌキがいきなり言い出した。やはり笑顔で。
「そういう女はいらない」
キッパリと断った。
「でも副社長、写真くらいご覧になりませんか?」
なおもタヌキはしつこい。
兄はニヤニヤどころかくっくっと笑っている。
「神田部長、しつこいですよ」
無視して書類片手にコーヒーを飲んでいると、神田部長が社長に自分の携帯電話を見せていた。
「こんなにかわいいのに。ねぇ、社長」
「おっ!かわいいね。うん、そうか。美人の血筋か」
「そうみたいですね。で、こっちが最新の写真で」
「ああ、これはこれは。ふーん、いい雰囲気だね」
どんな会話なんだ。
神田部長の紹介って写真館で撮影された見合い写真じゃなくてスマホの写真なのか。
しかも、何枚もあるらしい。
2人でニヤニヤしながらスマホをタップしている。