彼女の居場所 ~there is no sign 影も形もない~
タヌキの策略 2
おまけストーリー2
アクロス常務室
「失礼します。本日よりTHより出向して参りました谷口早希と申します。よろしくお願いします」
久しぶりに戻った本社での私の仕事は新しく就任した常務の専任秘書だという。
所属は秘書室。
何だろう、この変則的な人事はと思いつつもあまり深く考えていなかった。
康史さんが社長であるお兄さんにお願いして無理やり本社に私の居場所を作ってくれたんだろうと思っていた私は甘かった。
人事部長に案内された常務室で高級そうな椅子に座っていたのは信楽焼部長、いやタヌキ部長その人だった。
あ、今は神田常務か。
いやいやいや、神田部長が常務なの?
聞いてないよ。
ね、誰か教えて。部長が新常務なの?いつから?
私の中には疑問符がいっぱいだ。
「神田ぶ…常務?」
隣から咳払いが聞こえて振り向けば、人事部長が苦笑している。
「谷口さんは神田さんが会長の懐刀とは知らなかったんですか?かなり以前から常務にと話があったんですが、ご本人が固辞されていて。この度やっと受けていただきました」
ん?は?
会長の懐刀?
目をパチパチとさせてタヌキの顔を見ると、
「イヤだな~懐刀だなんて。ただの古くからの友達だよ」
ははっと笑うタヌキ。
その顔をじっと見つめる。
神田常務はへらっと笑った。
「早希ちゃん、お帰り」
「あ、ハイ。…ただいま…でいいんでしょうか」
私は人事部長と神田常務の顔をチラチラッと伺った。
人事部長は微笑んでいて、神田部長は破顔一笑。
アクロス常務室
「失礼します。本日よりTHより出向して参りました谷口早希と申します。よろしくお願いします」
久しぶりに戻った本社での私の仕事は新しく就任した常務の専任秘書だという。
所属は秘書室。
何だろう、この変則的な人事はと思いつつもあまり深く考えていなかった。
康史さんが社長であるお兄さんにお願いして無理やり本社に私の居場所を作ってくれたんだろうと思っていた私は甘かった。
人事部長に案内された常務室で高級そうな椅子に座っていたのは信楽焼部長、いやタヌキ部長その人だった。
あ、今は神田常務か。
いやいやいや、神田部長が常務なの?
聞いてないよ。
ね、誰か教えて。部長が新常務なの?いつから?
私の中には疑問符がいっぱいだ。
「神田ぶ…常務?」
隣から咳払いが聞こえて振り向けば、人事部長が苦笑している。
「谷口さんは神田さんが会長の懐刀とは知らなかったんですか?かなり以前から常務にと話があったんですが、ご本人が固辞されていて。この度やっと受けていただきました」
ん?は?
会長の懐刀?
目をパチパチとさせてタヌキの顔を見ると、
「イヤだな~懐刀だなんて。ただの古くからの友達だよ」
ははっと笑うタヌキ。
その顔をじっと見つめる。
神田常務はへらっと笑った。
「早希ちゃん、お帰り」
「あ、ハイ。…ただいま…でいいんでしょうか」
私は人事部長と神田常務の顔をチラチラッと伺った。
人事部長は微笑んでいて、神田部長は破顔一笑。