彼女の居場所 ~there is no sign 影も形もない~
ホッとして「では…」と挨拶して私が退室しようとすると
「せっかくだから、コーヒーでも飲んでいきませんか」と社長から驚きのひと言が飛び出した。
私が驚いて固まると、社長は広報担当者を「君たちはもういいよ。たまには若い社員とゆっくりコーヒーを飲みたいから」とニコニコしながら社長室から追い出してしまう。
「さ、こちらにどうぞ」とソファーに座るように促される。社長はニコニコしてるけど、これは断れる雰囲気じゃない。
「ありがとうございます」
仕方なく引きつりながら笑顔で応じた。
社長は大企業の経営者にしてはかなり若い。
父親の先代社長が体調不良で早くにリタイアしたため若くして社長に就任した。
周りの不安を一掃するほどの手腕で業績を伸ばしているやり手の若手経営者だ。噂によると奥さまは元社員。
学生時代はどんなスポーツをしていたのだろう。立派な体格に実に爽やかなイケメンだ。
ただ、どこかで見たことがあると思った。
テレビのイケメン俳優に似ているのだろうか。
最近は忙しくてあまりテレビを見ていないせいか具体的に誰という名前がでてこないけれど。
結婚前は相当モテたんじゃないだろうか。いや、今でも相当モテるだろう。
薫が2人分のコーヒーを持って入って来た。
私がまだ社長室にいて、自分の入れたコーヒーを社長と一緒に飲もうとしていることに驚いたような表情をしている。
いや、私もびっくりなんだけどね。
立ち止まった薫に「田辺さん、もういいですよ」と社長秘書さんがやんわりと退室を促した。
「失礼しました」と薫は慌てて退室していった。
「さて」
社長は私を見てにっこりした。
いや、緊張する。心臓が壊れそう。
何の話をされるのか、そして何を話したらいいのか?
「谷口さんは食べ物の好き嫌いはある?」
え?
「いえ、ありませんけど」
「せっかくだから、コーヒーでも飲んでいきませんか」と社長から驚きのひと言が飛び出した。
私が驚いて固まると、社長は広報担当者を「君たちはもういいよ。たまには若い社員とゆっくりコーヒーを飲みたいから」とニコニコしながら社長室から追い出してしまう。
「さ、こちらにどうぞ」とソファーに座るように促される。社長はニコニコしてるけど、これは断れる雰囲気じゃない。
「ありがとうございます」
仕方なく引きつりながら笑顔で応じた。
社長は大企業の経営者にしてはかなり若い。
父親の先代社長が体調不良で早くにリタイアしたため若くして社長に就任した。
周りの不安を一掃するほどの手腕で業績を伸ばしているやり手の若手経営者だ。噂によると奥さまは元社員。
学生時代はどんなスポーツをしていたのだろう。立派な体格に実に爽やかなイケメンだ。
ただ、どこかで見たことがあると思った。
テレビのイケメン俳優に似ているのだろうか。
最近は忙しくてあまりテレビを見ていないせいか具体的に誰という名前がでてこないけれど。
結婚前は相当モテたんじゃないだろうか。いや、今でも相当モテるだろう。
薫が2人分のコーヒーを持って入って来た。
私がまだ社長室にいて、自分の入れたコーヒーを社長と一緒に飲もうとしていることに驚いたような表情をしている。
いや、私もびっくりなんだけどね。
立ち止まった薫に「田辺さん、もういいですよ」と社長秘書さんがやんわりと退室を促した。
「失礼しました」と薫は慌てて退室していった。
「さて」
社長は私を見てにっこりした。
いや、緊張する。心臓が壊れそう。
何の話をされるのか、そして何を話したらいいのか?
「谷口さんは食べ物の好き嫌いはある?」
え?
「いえ、ありませんけど」