彼女の居場所 ~there is no sign 影も形もない~
「わかった。じゃあこうしよう」
社長は膝をポンと叩いた。
「谷口さんには副賞じゃなくて業務命令で副社長と会食してもらうよ」
ひゃっ。
驚きすぎてわたしの喉から変な音が出た。
「では、康史さんには何と説明をするおつもりですか?」
秘書さんが苦笑しながら社長に聞いた。
「思い切って社長命令の『お見合い』って言うか?それとも私の知り合いの綺麗なお嬢さんと食事して来いとでも言おうかな」
はぁ?
私の表情と反対に社長は非常に楽しそうな顔になっている。
秘書さんは呆れた顔をしているだけでもう反対をしてくれない。
「しゃ、社長。無理です、無理です!」
私は手をぶんぶん振って拒否の姿勢を示しているのに、社長は楽しそうに
「もう決めた」と笑っている。
そんな社長の様子に不安になり味方になってくれそうな秘書さんの顔をすがるように見つめてみるけど、秘書さんは難しい顔をして首を横に振った。
「谷口さん、申し訳ありませんが、諦めて従って下さい」
「ええぇ」
思わず無作法な声が出てしまった。
「で、では、他の女子社員と交代させて下さい」
「いえ、谷口さんにお願いしますよ。私の直感。谷口さんがいい。これは社長からの業務命令」
社長はニコニコしてるけど譲らない。
さすが経営者。あ、いやいやそんなことより、どうして私なのよー。
「谷口さん、あとの事は秘書の林と連絡を取り合って下さいね。これは極秘の業務命令です。副社長の秘書にも秘密です」
それではこれで話は終わりとばかりに、私は社長室から追い出されるように退室を促された。
送り出してくれた秘書さんを上目遣いで見ると
「そんな涙目で見つめられると心苦しいのですが、社長は言い出したらきかないものですから、諦めて下さい。一度副社長と食事をしていただくだけですから、どうか従って下さいね」
と苦笑しながら私に言った。
そ、そんな・・・。
極秘の業務命令ということで今後は社内メールを使用できず、林さんとプライベートの携帯電話の番号とアドレスを交換することになってしまった。
ああ、何でこんな事に・・・。
社長は膝をポンと叩いた。
「谷口さんには副賞じゃなくて業務命令で副社長と会食してもらうよ」
ひゃっ。
驚きすぎてわたしの喉から変な音が出た。
「では、康史さんには何と説明をするおつもりですか?」
秘書さんが苦笑しながら社長に聞いた。
「思い切って社長命令の『お見合い』って言うか?それとも私の知り合いの綺麗なお嬢さんと食事して来いとでも言おうかな」
はぁ?
私の表情と反対に社長は非常に楽しそうな顔になっている。
秘書さんは呆れた顔をしているだけでもう反対をしてくれない。
「しゃ、社長。無理です、無理です!」
私は手をぶんぶん振って拒否の姿勢を示しているのに、社長は楽しそうに
「もう決めた」と笑っている。
そんな社長の様子に不安になり味方になってくれそうな秘書さんの顔をすがるように見つめてみるけど、秘書さんは難しい顔をして首を横に振った。
「谷口さん、申し訳ありませんが、諦めて従って下さい」
「ええぇ」
思わず無作法な声が出てしまった。
「で、では、他の女子社員と交代させて下さい」
「いえ、谷口さんにお願いしますよ。私の直感。谷口さんがいい。これは社長からの業務命令」
社長はニコニコしてるけど譲らない。
さすが経営者。あ、いやいやそんなことより、どうして私なのよー。
「谷口さん、あとの事は秘書の林と連絡を取り合って下さいね。これは極秘の業務命令です。副社長の秘書にも秘密です」
それではこれで話は終わりとばかりに、私は社長室から追い出されるように退室を促された。
送り出してくれた秘書さんを上目遣いで見ると
「そんな涙目で見つめられると心苦しいのですが、社長は言い出したらきかないものですから、諦めて下さい。一度副社長と食事をしていただくだけですから、どうか従って下さいね」
と苦笑しながら私に言った。
そ、そんな・・・。
極秘の業務命令ということで今後は社内メールを使用できず、林さんとプライベートの携帯電話の番号とアドレスを交換することになってしまった。
ああ、何でこんな事に・・・。